SONYの4ヘッドDATデッキ、DTC-77ESの修理依頼をいただきました。
お客様からのお話では、以下不具合を抱えているということです。
1「再生音が途切れる」
2「早送り巻き戻しが遅い」
3「再生ボタンを押したとき、早送りになるときがある」
それでは順番に確認を行います。
テープをセットして再生しましたが、2,3秒に1度ほど途切れ途切れに音が出ます。また、テープをセットしてもローディングしないときがあります。
再生ボタンを押しても巻き戻しになることがあります。これはスイッチの接触不良が原因です。なお、早送り巻き戻しは正常でしたので、原因は、お客様のお持ちのテープにあると思われます。
カバーを開けてメカの様子を確認します。テープガイドは正規の位置に収まっていますので、ノイズの原因は他にあります。
ヘッドクリーニングを行います。少し長め(30~40秒程度)に行うと、無事復活しました。
テープをセットしてもローディングしないというのは、カセットハウジング内にある検出スイッチの接触不良が原因です。スイッチの隙間に接点復活剤を注入し、割りばしの先端で数十回つつくと、接触が回復します。
以上点検を行い、オーナー様に見積もりをお知らせし、今回は、操作スイッチ類交換とメカの分解整備を行うこととなりました。
まずは操作スイッチ類の交換から始めます。フロントパネルを本体から切り離します。
初めに、リモコン受光部の電解コンデンサー交換を行います。
液漏れにより端子が変色しています。リードタイプの新品に交換します。
つづいてディスプレイ基板です。
基板上に電解コンデンサーが4ケ取り付けられていますが、これらの液漏れが原因でスイッチに接触不良を及ぼします。
合計で21ケのスイッチと先ほどの電解コンデンサー4ケを交換します。
次はメカの整備です。ヘッドに悪影響を及ぼすスポンジ製のヘッドクリーナーは既に撤去済みです。
メカを裏返して基板を取り外すと、構成ユニットが現れます。
ヘッドを残して分解します。
リングギヤに付着した古いグリスを除去し、機械油やシリコングリスを施します。
ベルトも新品に交換します。
ギヤ類のシャフトには異音防止のためグリスアップを行います。
リールメカです。
ブレーキパッドの破片が貼り付いてます。
ブレーキを分解し、パッドを張り替えます。
トレイを取り外してピンチローラーの点検を行います。
かなり硬化が進行していますので、ゴムを張り替えたものと交換します。
メカを元通りに組み立てて、本体に戻し、動作テストを行います。
スイッチ類の点検を行います。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、
完了です。4ヘッドのDATデッキ、やはり便利ですね。