SONYのESG以降のカセットデッキのピンチローラーは、
この写真のように、左右違うタイプのものが使用されています。サイズはもちろんのこと、理由はわかりませんが、ローラーのコア(芯)に使用されている材質が異なります。左側はプラスチック、右側は金属製となっています。
一方、このピンチローラーに起因するトラブルで最も多いのが、左側のピンチローラー劣化がテープ走行不良を引き起こすことによるテープの損傷です。酷い場合は「クシャクシャ・・・」という音と共にテープがシワシワになってしまいます。
このピンチローラーの劣化は大きく2種類に分けられ、「ゴム自体の硬化などの劣化」と「コアの劣化」です。前者は、ローラーの表面の目視点検により比較的気づきやすい劣化ですが、問題は後者です。
同じプラスチック製のコアでも、この写真のように、プラスチックとゴムの間に白い充填剤を用いているものがあります。
このコアが経年により痩せていき、最終的にはスカスカになって、ゴム部分にガタツキが発生します。これは推測ですが、クリーニング液がこの部分に浸み込むことによって、充填剤に悪影響を及ぼしたのではないかと思われます。
当店では、修理時には必ずこの部分の点検を行い、充填剤を用いているタイプは劣化が進行していなくても交換をお勧めしています。なお、他社製のデッキでは同様のものは見たことはありませんのでご安心ください。