今月2台目のXK-009です。
30年ほど前に新品で購入後、6・7年で故障し、家電量販店に修理を依頼したところ、「部品が無い」と断られ、現在に至るということです。さて、長年の眠りから目覚めることができるでしょうか?
カセットをセットしました。この機種は、テープセット時に「バシャン!」と大きなAMTS音の後に「ガチャガチャガチャ」とスタンバイモードに入るのですが、
スタンバイモードに入らずテープ走行は不可です。
カバーを開けました。使用期間が短かったせいでしょうか?新品のような匂いがします。
メカを降ろす前に、まずは支障となるAMTSのソレノイドを取り外します。
メカを取り出しました。
再生用のリールベルトが無くなっています。
メカ底面です。キャプスタンベルトが破断しています。
カセットホルダーを切り離します。
ベルトは細切れになっています。
折長80mmほどの新品ベルトを取り付けます。
キャプスタンモーターが取り付けられているプレートを外します。
モータープーリーにベルトが貼り付いています。
フライホイールを取り外し、清掃します。
リールモーターを取り外します。
そこにアイドラーが現れます。これは早送り・巻き戻し専用です。
ゴムリングを交換します。14mm*10mm*2mmです。
キャプスタンのシャフト部にグリスを塗布し、
新しいベルトを2本取り付けます。径80mmと73mmです。
続いて再生用のアイドラー交換を行います。モーターを取り外します。
ここのアイドラーはシビアです。以前修理した別のデッキでは14mm*10mm*2mmでOKでしたが、今回はスリップして上手く動作しません。最終的に13mm*9mm*2mmで落ち着きました。
ケーブルを仮接続して動作テストを行います。正常に動作することを確認後、
本体に組み付けます。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。許容値内ですが、
モーターの調整孔にドライバーを差し込んで、315Hzを中心に数値が動くように調整します。
ヘッドアジマスの狂いは僅かです。
バイアスキャリブレーションを行い、左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしながらバランス調整を行います。
ここで周波数特性を点検します。315Hz、1000Hz、10000Hz、12500Hzのサイン波を入力し、それを録音再生モニターします。使用しているテープはグレードの低いTDKのAEですが、高域もほとんど減衰していません。
CDを録音し聴感テストを行い完了です。名機が蘇りました。