久しぶりにA&Dのオートリバース機の修理依頼をいただきました。
GX-R65CXです。
不具合の1点目、トレイは電動でOPENしますが、
閉まる時に引っ掛かります。
原因はすぐにわかりました。
リッド(蓋)を引っかけるツメのうち、左側が折れています。後ほどホルダーを交換します。
早送り巻き戻し、ヘッドのリバースは正常ですが、キャプスタンが回転しないため再生不可です。
カバーを開けます。3モーターです。一番左側がキャプスタンモーターです。
フロントパネルを取り外してメカを取り出します。
おそらくこのモーターが故障しています。これまで何度か同様の故障を見てきました。
モーターを切り離しました。固着してほとんど動きません。
元々のモーターはEG-500AD-2Bという、12V2400回転のモーターですが、用意したのは同じ規格のEG-530AD-2Bという少し小型のモーターです。これで問題無く動作します。
モーターを交換しました。本体に仮接続してテストを行います。再生可能な状態になりました。
メンテナンスに移ります。テープ検出スイッチの接点を清掃します。
このスイッチは、手動でトレイを閉めたときに電動で作動するためのものです。ここも清掃します。
このカバーの下にはカムとスイッチが2ケあります。丸い穴が開いているところに接点がありますので、細長いヤスリを差し込んで接点を清掃します。
スペアのカセットホルダーを用意しました。
左は正常な状態、右はツメが折れた状態です。
ピンチローラーを左右とも交換します。
リール周りを分解します。このメカはアイドラーがギヤ式ですので、本来はメンテナンスフリーなのですが、
黒いプラスチック部分が割れています。このままでは、中心部のシャフトがスリップし、動作不良となります。スペア品は入手できませんので、分解し、シャフト部に接着剤を塗布します。
元通りに組み立てます。
動作良好です。
このメカにはスライドVOLが3ケ使用されています。ガリが発生していますので接点復活剤を隙間から吹き付けます。
315Hzのテープを再生して速度の調整を行います。
ヘッドアジマスが大幅に狂っていました。調整後は音質が劇的に変化しました。オートリバース機はFWD・REV両方の調整を行います。
入出力のバランス調整を行います。
複数のテープを使用して録再状況を点検し、修理完了です。