SONYのダブルオートリバースデッキ、TC-WR990やTC-WR965Sなどに採用されているメカのキャプスタンモーターは、よく故障します。
ESシリーズのメカをオートリバース化した写真のメカになります。ESシリーズにはDDモーターが採用されていますが、
このメカには「MMI-6H2LWK」というモーターを搭載しています。端子が4本ありますので、DCサーボモーターと思われます。このモーターは、SONY以外の他メーカーのデッキにも採用されているようです。
これまでこのモーターを搭載したデッキを数多く修理してきましたが、3割程度にこのモーターの故障が見られます。
そこで問題になるのは、このモーターは極めて入手困難であるということです。以前は海外のオークションサイトで購入できたようですが、現在は、検索してもまったくヒットしません。そういった状況から、このモーター故障が発見された時は「修理不可」と判断せざるを得ませんでした。
モーター以外はまだまだ使用に耐え得るメカですので、何とかしたいと常日頃思っていたところ、今回、少し時間が取れたので、モーター流用にチャレンジしてみました。
故障したメカを分解します。代替モーターとして用意したのは、サイズや電圧が類似している「EG-530AD-2B」というDC(サーボではありません)モーターです。規格は12V2400回転です。
電圧が同じでも、おそらく回転数が異なるでしょうから、モータープーリーの径を測定しておきます。10.8mmです。まずは、代替モーターにこのプーリーを取り付けて組み付けます。取付穴の位置はピッタリです。
12Vを基板から取り出します。これでテープ走行は可能になりましたが、予想通り速度が2倍ほど早回し状態で、調整では対応できません。
(違うモーターを使用して解説用の写真を撮影しました)
径が7~8mm程度の小さめのプーリーがあれば良いのですが、そう簡単には手ごろなものは入手できません。そこで、写真のようにGX機用のリールモーターに使用されている軸部分にシリコンチューブを被せ接着しました。これで外径は8mm程度になりました。
さあ今度はどうでしょう?見事正常に再生できるようになりました。速度も安定しています。あとは耐久性が十分であるかを確認し、実用化を図りたいと思います。