EXCELIAの3ヘッドカセットデッキ、XK-009です。
テープ走行に不具合を有しています。
再生はまったくダメ、早送りや巻き戻しもほぼダメといった状態です。
カバーを開けます。
初めに、AMTSのソレノイドの取り外しを行います。
本体底面のネジ2本を緩めると取り外すことができます。バネも支障になりますので取り外します。
カセットホルダーの下部にAMTSのレバーがあります。ここに注意しながら、
メカを内側から取り出します。キャプスタンベルトが切れて底部に散らばっています。
メカ正面右側の黒いプーリーには、本来、再生時にリールを回すためのベルトが掛かっているはずですが、無くなっています。
メカ背面です。キャプスタンベルトが溶けてフライホイールに貼り付いています。
フライホイールのバックプレートを取り外します。
フライホイールも取り外します。溶けたベルトはアルコールで拭き取ります。
カセットホルダーを切り離します。
右側リールにも溶けたベルトが付着しています。
リールを取り外します。
注意しなければならないのは、リール裏側のこの模様です。リールの回転を検知するためのものですが、溶けたベルトで汚れていると動作不良を起こします。
オレンジクリーナーと歯ブラシを使って汚れを落としました。
新しいベルトを取り付けます。
リールモーターを取り外します。
ここにも溶けたベルトが付着しています。綺麗にふき取ります。
プレートを外すとアイドラーが現れます。
ここも酷い状態です。一旦分解し、
清掃して新しいゴムリングと交換します。
元通りに組み立てます。新しいベルトを取り付けます。
再生用のモーターを取り外し、アイドラーにアクセスします。
先ほどのものと構造は一緒です。ゴムリングを交換します。
メカを組み立てて本体に組み込みます。動作良好になりました。
ところが、こで新たな故障が発見されました。クロムとメタルは問題ないのですが、ノーマルポジションではバイアスキャリブレーションがまったく効きません。また、音質も最悪の状況です。バイアス回路の故障と思われます。
回路図の登場です。ノーマルポジション用のバイアスを切り替えるのは、Q734(2SC1815)のトランジスタです。この辺りが怪しいのですが、
このデッキの基板修理は大変です。写真のように支障となるものが多く、交換したいパーツにたどり着くためには、それらを取り外さなければなりませんし、基板上にパーツNoのプリントが無く、回路図と基板との照合に時間を要することなど、修理する際の環境が良好ではありません。
支障となるものを取り外し、疑わしいトランジスタを取り外します。
トランジスタチェッカで点検します。完全に故障している場合、普通は「JUNK TRANSISTOR」と表示されるのですが、とりあえずはトランジスタと認識されました。最初は正常かと思いましたが、数値が異常値を示しましたので故障(大幅な性能低下)確定です。
2SC1815は比較的スタンダードなトランジスタです。以前多めに注文してあったスペア品がありましたので交換します。
無事復旧しました。こういったトランジスタが故障というのは極めて稀です。これで最終調整に移ることができます。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。
ヘッドアジマスの点検を行います。許容範囲内ですが、僅かに狂いが見られますので調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしてバランス調整を行います。
オーナー様が指定されたテープでの録音再生状況を確認します。dbxのONOFF両方で行います。
完成しました。