TASCAMの業務用カセットデッキ、112mkⅡの修理依頼をいただきました。
非常に精悍なデザインです。
電源を入れると異音が「ガーーー」と異音が鳴り、PLAY、PAUSE、RECランプが点滅します。
オーナー様は、この機種でこの症状は、メカ内部のギヤ破損が原因であるということをご存じでした。そこで、折角交換するなら、それをハイブリッドタイプのギヤに交換したい、とのお考えをお持ちでしたが、他店では補強が必要となるという理由で極めて法外な費用を提示されたという経緯があり、今回、当店にご依頼をいただきました。
ギヤは、海外からの取り寄せになりますが、コロナによる航空機の減便による影響からか、発注から納品まで丸一ヶ月かかりました。
必要なパーツを入手したので修理を行います。
メカを取り出します。キャプスタンベルトが無くなっています。
早速ギヤ交換を行います。カムモーターを取り外すと、
破損したギヤが現れます。
シャフト部に塗られたグリスが固まり、取り外す際にさらにギヤが割れました。
それ以外の箇所も少し回転が重いので、
一旦取り外してシャフト部を清掃&グリスアップを行います。
エンコーダー部の接点は非常に綺麗ですが、清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
続いてキャプスタンベルト交換を行います。モーターを取り外すと、
モータープーリーに溶けたベルトの残骸が巻き付いてますので、清掃を行います。
キャプスタンのシャフトにグリスを微量塗布し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
カセットハウジング内の化粧カバーを外し、
リールモーターを取り外して、
アイドラーゴムを交換します。
カセットホルダーを切り離します。
左右リールを取り外し、
回転部にグリスアップ、ゴムが当たる面は清掃を行います。
ピンチローラーは脱着し、軽く表面を研磨後に専用クリーナーで処理します。
メカの整備が完了しましたので本体に組み込み、まずは走行テストです。動作良好です。
315Hzのテープを再生して速度の調整を行います。
ヘッドアジマスに狂いはありません。
左右同レベルの信号を入力し、録音します。それを再生し、先ほどと同じ波形になるようレベル調整します。
数種類のテープで録音再生テストを行い、
完成しました。