先日当店で修理したTC-K666ESですが、最近、異変が起こるようになったとのご連絡をいただきました。
前日までは正常に動作していたものが、翌日、再生を開始すると、最初の20分程度は速度が不安定な状態が続き、その後は正常な状態に復帰するということです。
このデッキは、キャプスタンモーターのほか、左右リールもDD仕様となっていて、それをコントロールするための基板がメカ背面に取り付けられています。時間の経過により状況が変化するというのは、熱の影響が考えられます。そこで、熱の影響を受けやすい電解コンデンサーを全交換しましたが、予想は見事に外れました。
回路図を見てみると、次に疑わしいのはICです。既に入手不可のものもありますが、とりあえず交換を試みることにし、パーツを発注しました。納品まで3日程度要しますので、その間も状況の確認を行うことにしました。ところが、翌日はまったく正常に動作しました。ということは、ICではなく、接触不良が原因である可能性が高いということで、
基板を確認すると、このコネクタの半田付け箇所にクラックが発生していました。そこを再半田すると、
それ以降、症状が再発することは無くなりました。
今回の状況を分析すると、経年劣化により半田クラックが発生し接触不良の状態になったものの、使用を開始すると徐々に温度が上昇し、パーツの僅かな膨張などにより接触が改善され動作が正常に戻る、ということになります。
しかし、他に不具合があるという可能性も否定できませんので、一旦機器をオーナー様のところにお返しし、状況観察をお願いすることにしました。