先日GX-Z7100を当店で修理されたお客様から、今回、GX-Z9000の修理依頼をいただきました。
一応動作はするものの、以下不具合を抱えています。
1 ピンチローラーを何度クリーニングしても汚れ?が取れない。
2 カセットトレイの開閉時等に、先日修理した7100と比べるとかなり大きな音が発生する。
3 テープエンドで停止する時に「キュキュキュー」という異音が発生する。
4 ディスプレイで「Dolby B」表示がつらつく。
早速カバーを開けます。一度は修理された形跡がありますが、処置の方法から判断すると、専門業者ではなく個人によるもののようです。
メカを取り出します。
カセットホルダーと化粧パネルを切り離します。
ホルダー内に装備されている、テープを押さえるための樹脂製スプリングにヘタリが見られますので、脱着して加熱整形します。
ヘッドやピンチローラーの動きが重くなっています。
製造時に塗布されたグリスが固まりかけているのが原因です。
ピンチローラーの状況です。左側は硬化が進行し、右側は弾力はありますが、ブルーミング現象が発生しています。同サイズの新品に交換します。
可動部を分解し、古いグリスをシリコングリスに置換します。動きが滑らかになりました。
続いてリール周りです。ブレーキパーツはパッドが外れにくい対策品に交換されています。
左右リールのアイドラーが当たる箇所をアルコールで脱脂します。
アイドラーゴムを新品交換します。
メカ背面です。
異音を発しているモーターを交換します。
モードベルトを新品交換します。
テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。
キャプスタンのシャフトにグリスを微量塗布し、組み付けます。
メカの整備が完了しました。
調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。右側のテープガイドがテープと僅かに干渉していましたので、調整を行いました。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。問題ありません。
再生ヘッドのアジマスを点検します。逆位相になっています。
調整を行います。
ここで周波数特性の点検を行います。315、1000、10000Hzの信号を録音し、それを再生モニターします。フラットに録音再生されていることが確認できました。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしバランス調整を行います。
最後に聴感でテストを行い、完成です。動作音も高級機らしく静寂になりました。