先日のGXC-730Dに続き、今日もヴィンテージデッキの修理を行いました。
ナカミチの581です。
イジェクトボタンは押し込まれた状態で反発力が無く、押してもトレイが開きません。以前修理した582と同じです。
カバーを開けて目視点検を行います。細部の仕様は異なりますが、メカの仕組みは基本的にドラゴンやLX-5などと同じです。
テープ走行はかろうじてOKです。
ロックを解除するとトレイが開きます。
底板を取り外し、
ツマミを取り外すと
フロントパネルを切り離すことができます。左右CH独立したバイアスとレベル調整用のツマミがずらりと並んでいます。
メカを取り出すためには、「ヘッドのコネクタ」「メカコントロール用コネクタ」そして、写真の「録音再生切替用リンケージ」を切り離す必要があります。
メカは正面4箇所のビスで固定されていますが、ヘッドホンジャックの脱着が必要です。
メカを取り出しました。
メカはパネル3層構造になっています。まずは1層目、キャプスタンモーターが取り付けられたパネルを切り離します。
キャプスタンベルトです。劣化しスベスベになっていますので、後ほど交換します。
フライホイールを取り外し、
パネル2層目と3層目はビス6本のほか、スプリング3か所で固定されています。
2層目と3層目を切り離しました。
モードベルトも硬化しています。後ほど交換します。
リールとアイドラーです。まずはリールを取り外し、回転部分に異音防止のためグリスアップを行います。
アイドラーです。ゴムリングが硬化していますので、特注したリングと交換します。
リール周りのメンテナンスは以上です。
トレイのロック機構です。イジェクトボタンに繋がったワイヤーで引っ張られ、ロックが外れる構造になっているのですが、
ワイヤーを固定している箇所が割れています。力が加わりますので、接着では補修できません。
以前修理した582と同様、金属板で補強金具を製作します。
それを先ほどの割れた箇所に被せ、
ビスで固定します。
リーフスイッチの接点を清掃します。
リールの回転を検知するためのベルト(2本のうち1本目)が撓んでいます。新品交換します。
キャプスタンのシャフトにグリスを微量塗布し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
新品のモードベルトを取り付けます。
トレイ開閉状況の点検を行います。動作良好です。
ハウジング内の化粧プレートを取り外します。
リールの回転を検知するためのベルト(2本目)を交換します。
メカの整備が完了しましたので、本体に組み付けます。動作OKです。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。右は調整後です。
再生ヘッドのアジマスを調整します。
このデッキは3ヘッドですが、録音再生モニターができませんので、一旦信号を録音し、それを再生しながら録音ヘッドアジマスを調整します。
CDを録音してみました。バイアスとレベルを追い込むと、さすがナカミチという音になります。以上完成です。