少し前にA&Dのカセットデッキ2台を当店で修理されたお客様から、3台目のメンテナンス依頼をいただきました。
A&DのGX-R75CXです。
リール回転時の異音、スライドVOLのガリなどの不具合があります。
カバーを開けて、フロントパネルを取り外します。
メカを前方から引き抜いて、カセットホルダーを切り離します。
最初にアイドラーの点検を行うため、リール周りを分解します。
アイドラーにひびが入っています。このままでは、中心部のシャフトが滑り、リールの回転不良に至ります。
一旦シャフトを引き抜き、弾性のある接着剤を塗布して差し込み。ひびの入っている箇所も接着剤で補強します。
異音は経年によるプラスチックパーツの変形が原因です。手持ちのスペア品と交換します。
ピンチローラーを交換します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
この細長い白色のギヤが固着することがありますので、グリスアップします。
メカ向かって左側にリーフスイッチが3か所ありますので、接点を磨きます。
メカのメンテナンスが完了しました。
スライドVOLの隙間に接点復活剤を注入します。
315Hzのテープを再生して速度の調整を行います。
ヘッドアジマスに狂いはほとんどありません。オートリバースは往復とも調整が必要です。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生します。同じ波形になるようバランス調整を行います。
ところが、dbxをONにするとバランスが大幅に狂います。スイッチの接触不良が原因ですので、コントロール基板を脱着してスイッチの隙間から接点復活剤を注入します。
ここで問題が起こりました。テープの種類によって音量バランスが狂うことがわかりました。
ホルダー内部のスプリングがへたって、テープがガタついているのが原因です。
脱着して加熱整形します。
聴感テストを行い、完成です。