少し前に当店でDATデッキを修理されたお客様から、カセットデッキ2台の修理依頼をいただきました。
2台ともDENONのデッキで、1台目はDR-F7という、シングルキャプスタン3ヘッドデッキです。
モーターは回っていますがテープ走行ができません。
カバーを開けてメカを覗き込むと、アイドラーがスリップしていることがわかりました。しかし、このメカのアイドラーは内部に位置しているため、メカ背面のパーツを分解しなければアクセスできません。
接続されているコネクタを本体から切り離し、メカを取り出します。
メカに固着はありません。
まずは基板を取り外します。
大きなソレノイドが2つあって、これらがヘッドの上下などを駆動しています。右写真のドライバーで指している箇所でメカ本体から切り離すことができます。
ソレノイド、フライホイールを取り外します。
ようやくリールユニットを取り出すことができました。
アイドラーです。ゴムリングがプラスチックかと思うぐらい硬化していて、取り外すと粉々に割れてしまいました。断面がT型になっている特殊形状のリングですが、こういったものは代替品も含め、同じものは現在では入手できません。
幸いにも、はめ込む部分の幅が2mmほどありますので、断面が■型のリングを取り付けます。16mm*11mm*2mmです。
取り付けました。いい感じです。
リールの回転でカウンターやオートストップなどを動作させるためのベルトが伸びています。折長12.5cmの新品と交換します。
メカを本体に戻して動作確認を行いましたが、すぐにリールの回転が停止してしまいます。早送り等を行っていると徐々に正常に戻りましたので、モーター内部の接点に接触不良が起きているのが原因と思われます。そこで、半日ほどモーターを高速で空転させて自己回復を促します。
接触不良が改善されましたので、調整に移ります。315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。
メカ背面の基板上の白いツマミを回して調整します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしバランス調整を行います。
CDを録音して聴感テストを行い、
修理完了です。