本ブログ初登場のDENON社製3ヘッドデュアルキャプスタンデッキDRS-810Gです。
同社のDATデッキDTR-2000Gとデザインを統一し、水平ローディングシステムを採用しています。私も以前、DTR-2000Gを所有していましたので、このDRS-810Gには大変興味を持っていた時期がありました。
この機体は、少し前に当店でGX-93の修理をされたお客様からのご依頼ですが、「再生を開始しても音が出ず、8秒後に停止する」という不具合を抱えているとのことです。
動作テストを行いましたが、なぜか正常に動作します。不具合の原因はベルトスリップと思われますので、気温や湿度の関係で、たまたま調子が良いのでしょうか?
カバーを開けて、メカを降ろす準備をします。しかし、やはり不調の状況をこの目で確認したいので、電源をONにしたまま1時間ほど放置しました。
すると、オーナー様のおっしゃるとおり、再生開始後、音が出ない状態が続き、8秒で停止しました。メカを覗き込むと、ピンチローラーとヘッドは上がり切っていてテープ走行はしていますが、最後のひと押しが弱く、モードを切り替えるための検出スイッチがONにならないといった感じです。
メカを取り出しました。このモードベルトの劣化が原因と思われます。
モーターが取り付けられているパネルを取りはずします。
モードベルトとキャプスタンベルトです。両方とも交換します。キャプスタンベルトは内径73-75mm、モードベルトは内径22mm太さ1.5mmです。
メカからローディングユニットを切り離し、点検を行います。ピンチローラーの弾力は十分ですので、専用クリーナーで清掃し再利用します。
メカを本体に戻します。動作良好です。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。
調整は基板上のツマミを回します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしバランス調整を行います。ノーマルとクロムでは感度に差がありますが、両者とも適正という風には調整できませんので、中間に合わせます。
複数のテープで録音再生状況を確認し、完成です。