皆さんは120分以上の長尺カセットテープをお使いになることはありますか?
先日、SONYのTC-K555ESRの取説ページをめくったときのことです。
中に1枚の紙きれが挟まっていました。
「120分テープの使用は余りおすすめできません」といった内容です。このようなメッセージは、ほかのメーカーの取説でもよく見かけますが、「余りおすすめできない」という中途半端で消極的なメッセージです。しかし、個人的には、メーカーがこの表現を使った理由が良く理解できます。
厚さが薄い120分以上のテープに巻き込みなどのトラブルが起きやすいことは事実です。しかし、このトラブルの発生は、デッキの状態に大きく左右されます。具体的には、ピンチローラーやキャプスタンの汚れ、ピンチローラーの劣化が原因であることがほとんどです。
カセットテープは、技術の向上により150分テープというものも製造されました。私も個人的な長時間録音に使用するほか、仕事ではデッキ修理後の走行テストに使用しますが、きちんと整備・維持されたデッキでは、前述のようなトラブルは皆無といっていいほど起こりません。
しかし、長尺テープが販売されたことにより、46分・60分といったテープでは正常に動作していたデッキでも、長尺テープを使用したとたんにトラブルが発生したということで、ユーザーからメーカーに対して多くの苦情があったことは容易に想像できます。
おそらくその大半は、メンテナンス不良が原因であったと思われますが、温度や湿度などの使用環境による場合や、機種によってはトラブルの起きやすいものとそうでないものもありますので、「100%ユーザーのメンテナンスが悪い」とは言い切れないため、「余りお勧めできない」といった表現になったのでしょうね。
なお、SONYのESG以降のデッキでは、他社製と比較して、ピンチローラーの劣化や調整不足によるテープの損傷等が起こりやすいので、該当機種をお持ちの方は、メンテナンスには十分ご留意ください。