SONYのDATデッキ、DTC-57ESの修理依頼をいただきました。
6月にオークションで購入したものの、テープがワカメ状になる症状があり、それ以降使用していないということです。
動作テストのときは正常に再生されましたが、ローディング時のメカの動作が緩慢です。
カバーを開けて点検を行います。
この機種は、電源部の電解コンデンサーのロットの違いにより液漏れが起こることがあります。この機体は問題ありません。
メカを降ろします。
このRFアンプのコンデンサーも液漏れを起こしますが、既に交換されていました。
カセットホルダーを切り離します。
ヘッドを痛める純正のスポンジ製ヘッドクリーナは既に無くなっています。アームも不要ですので撤去します。
ピンチローラーです。念のためゴムを張り替えたものと交換します。
テープ検出スイッチです。ここの接触不良により無反応症状が発生することがありますので、スイッチの隙間から接点復活剤を注入します。
メカを裏返して、基板、リールユニットの順にを取り外します。
可動式のテープガイドを駆動するギヤの樹脂製留め具が割れて不動になることがありますので、鋼製のEリングに置換します。
リールユニットです。ここに明らかな異状が見つかりました。
左側のブレーキパッドが脱落しています。パッドは両面テープで貼り付けられているのですが、経年により粘着力が弱まってこのようになります。この左側のパッドは、再生中は常にリールにブレーキを掛けて、テープテンションを保つためにありますが、それが脱落してテープテンション不良となり、テープ走行に異状が起きてテープを損傷したものと考えられます。
なお、他機種で同じメカを採用しているデッキでも同じ症状が起こることがあります。
テープガイドを駆動するギヤです。一番上の黒色のギヤが固着気味です。脱着してグリスアップします。
リール周りを分解します。
両面テープで貼られたブレーキパッドの位置がズレています。
両面テープを剥がして、接着剤で貼り付けます。
右側も同様に処置します。
左右リールを取り外すとスプリングが内蔵されています。ここも固着することがありますので、グリスアップを行います。
元通りに組み立てました。
接着剤が乾くのを待って動作テストを行います。ローディングも軽快な動きに変わりました。
ヘッドホンVOLにガリが見られます。機器内部から、VOLの隙間に接点復活剤を注入します。
モード別、入出力別の録音再生状況を確認し、修理完了です。