TASCAMの3ヘッドカセットデッキ、112mkⅡ&112RmkⅡでは、カムギヤが破損して不動状態になるという故障が必ず起こります。
一番手前の少し色の付いたギヤの歯が欠けているのがわかると思います。これは軽傷なほうで、ギヤがバラバラになっていることもあります。VICTORのTD-Vシリーズも同様ですが、経年劣化で脆くなる材質が使用されているためです。
これは破損する前のギヤですが、「直径18mm歯数34」のギヤと「直径8mm、歯数14」のギヤの組み合わせです。そして、高さ調整のために上部がスリーブ状になっています。
もちろん現在ではメーカー純正品は入手できませんが、代替品として、海外のサイトから強化されたギヤ(右)を購入することができます。当店でも何度か修理に使用したことがあります。しかし、送料も含めると結構な高価になること、また、供給が不安定であることなどの欠点があります。
それであれば作ってしまおう、ということで、AMAZONからギヤセットを数百円で購入しました。しかし、元々のギヤは、上記のとおり径の異なる大小ギヤ2ケが組み合わされている特殊なタイプですので、残念ながらセットの中には同じ形状のものは入っていません。
ではどうするかというと、セットには、大小それぞれ純正品と同じサイズのギヤが入っています。オレンジ色のものはスペーサーです。問題は、どうやってこの大小ギヤを組み合わせるかということです。接着剤で貼り合わせても、接着面の強度的な問題がクリアできません。そこで、2ケの異なるギヤを組み合わせるちょっとした加工を行います。
不要なモーターのシャフトに、台座となるギヤ(何でも構いません)をはめ込み、
大きなギヤ、その次に小さなギヤをセットします。
極細のドリルで2つのギヤを貫通します。
貫通した穴に、少し太めのワイヤーを圧入します。2か所~4か所で固定します。
これで2つのギヤが結合されました。回転方向の強度は相当なものです。もちろん引っ張っても簡単には外れません。最後に中心部の穴径を2mmのドリルを用いて拡大します。
割れたギヤと置換します。オレンジ色のスペーサーをはめ込み、
無事正常に動作しました。