機器を整備する際に、「修理」「メンテナンス」「オーバーホール」といった表現が一般的に使用されます。普段は何気なく意識もせずに使っていますが、当店では、基本的に以下のように使い分けていますのでご参考としてください。
1 修理
不具合が起きた箇所を不具合が起きる前の状態以上に戻すこと。劣化により故障の原因となったベルトや電子パーツの交換作業がこれにあたります。不具合が起きていない箇所には処置は行いません。
2 メンテナンス
故障していない機器に対して、寿命を延ばすため、あるいは性能維持のために必要な措置を施すこと。経年により消耗し、近いうちに故障の原因となり得るパーツの交換や、テープ速度、ヘッドアジマス、バランスの調整などがこれに該当します。
3 オーバーホール
不具合が起きた箇所の修理も含め、摩耗や劣化により寿命が消耗している箇所すべてを新品と同様の状態に戻すこと。ヘッド、ボリューム、スイッチなど摩耗の起きるもの、電解コンデンサーを始めとする比較的寿命の短い電子部品、ゴムパーツなど性質が変化するものなど、性能の低下が起きる部品すべてを新品に交換します。したがいまして、オーバーホールした機器の寿命は、新品と同様でなければなりません。
なお、電子部品については特殊なものを除き、現在でも入手可能ですが、ヘッドやボリューム、スイッチなどは入手できないものがほとんどですので、オーバーホールを行うことは現実的には不可能と言えます。
当店では、デッキ整備のご依頼をいただいたときは、機種にもよりますが、コストパフォーマンスの最も優れている「修理 + メンテナンス」をご提案するようにしています。