AIWAのフラッグシップモデル、XK-S9000の修理依頼をいただきました。
トレイ開閉やテープ速度に不具合を抱えているということです。
速度に問題はあるものの、初めは再生できていましたが、そのうちまったくテープ走行不可となりました。
カバーを開けてメカを点検します。
キャプスタンベルト２本のうち、１本が外れています。残りの１本も伸びています。
底板を取り外してヘッドの半田付け箇所を切り離します。
もう一か所のヘッドのコネクタと、フラットケーブルを切り離し、
メカを取り出します。正面、背面、
底面、左側面です。このメカの分解組立は、難易度がかなり高い部類に分類されます。
カセットホルダーを取り外します。
AMTSのメカを切り離します。
このゴムベルトが劣化すると不動となりますので、予防措置として交換します。
AMTSはカムで駆動されますが、上面に１本、下面に２本のガイドピンがカムで動作するようになっていますので、組み立て時に注意が必要です。
カムを取り外します。ベルトには油分が付着していました。
プーリーをアルコールで脱脂し、バンコードを掛けます。
続いてキャプスタンベルトの交換を行います。
背面のパネルを取り外します。加水分解によってゴムの弾力が失われています。
新しベルトを掛けます。折長120ｍｍと110ｍｍといったところでしょうか。
前面です。
リール間の早送り・巻き戻し用アイドラー、再生用のリールベルト、再生用のアイドラーの交換を行います。
再生用アイドラーです。支障となる周辺のパーツを取り外し、アイドラーゴムを交換します。
ヘッドブロックを少し浮かせて、アイドラーを取り出してゴムの交換を行います。最後にリールベルト（折長80ｍｍ）を交換し、メカを組み立てます。
このメカのトレイは、電動開閉にAMTSが組み合わさっていて、組み付けが複雑です。組み立て後に、手動で底面のAMTSのカムギヤを回し、
問題無く開閉することを確認します。
本体に組み付けました。動作良好です。
315Hzのテープを再生して速度の調整を行います。（数値は多少上下しますので、315Hzを中心に動くように合わせます）
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしバランス調整を行います。
複数のテープで録音再生状況を確認し、完成です。
