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DTC-57ES

SONY DTC-57ES

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先日のKX-7030と同じ客様からのご依頼の、SONYのDATデッキ、DTC-57ESです。

長期間放置状態で不調となったということです。

テープの再生はできますが、酷いノイズです。

カバーを開けます。

メカを観察します。左側の可動式テープガイドが途中で止まっています。そのためヘッドとテープの当たりが不良となりノイズが発生したようです。

この機種では、必ず点検しなければならない箇所があります。そのひとつが電源部の6800μFの電解コンデンサーです。製造時期によって黒色と茶色のものがあり、黒色のものは100%液漏れして基板や周辺パーツを痛めます。電源は入るが表示パネルが暗い、または点灯しないというのは、ほとんどがここが原因です。この機体は茶色ですので問題ありません。

メカを降ろしてカセットホルダーを切り離します。

標準のスポンジ製ヘッドクリーナーです。変質によりヘッドを痛めますので撤去します。

スポンジカスがドラムに付着していますので清掃します。回転する上半分はテープに接しますので、特に入念に行う必要があります。

ピンチローラーです。かなり硬化が進行していますので、ゴムを張り替えたものと交換します。

メカを裏返して基板、リールユニットの順に分解します。

このメカのウィークポイントです。白黒ギヤを固定している樹脂製留め具が割れて不動となりますので、鋼製のEリングに置換します。

可動式テープガイドの動作を確認します。

樹脂製のレールが割れて間隔が狭まっていますので、ヤスリで削ります。

これで途中で引っ掛かることは無くなりました。

リールユニットです。ギヤを脱着してシャフト部をグリスアップします。

リールとブレーキパーツを分解します。

この白色のパッドは両面テープで貼られていますが、接着面の劣化によりパッドが脱落し動作不良の原因となりますので、接着剤で貼り直します。

リール取り付け部に内蔵されているスプリングにグリスを処置します。

ヘッドの信号を処理するRFアンプです。

基板上の電解コンデンサーが液漏れしています。

リードタイプに交換します。

メカを本体に戻して動作テストを行います。ノイズは無くなりました。

ヘッドホンVOLにガリが発生していますので、本体内部からVOL背面の隙間に接点復活剤を処置します。

早送りと巻き戻しの動作確認を行ったところ、プラスチック製のパーツの経年による変形が原因と思われますが、早送り・巻き戻し時にバタつきや「カタカタカタ・・・」という異音が発生します。

そこで、偏心しやすい旧タイプのプーリーを、

後発機のタイプに交換したり、

タイミングベルトを交換したり、

ベルトのテンションを微妙に調整したりしましたが、

残念ながらバタつきや異音は解消されませんでした。全体のバランスが狂っているようです。

元々、この機種に搭載されているメカは、テープ走行に弱点を抱えています。今回修理した機体には貼られていませんでしたが、この写真のようにテープ挿入口の上に「テープによっては早送り、巻き戻しの立ち上がり時、多少時間がかかることがあります。」と記載されたシールが貼られていました。確かに、この機体に限らず、操作スイッチを押しても、動作開始まで2秒ほど掛かる場合がありますが、メカの構造上、モーターのトルクとリールの回転のバランスが難しかったのではないかと推測されます。事実、この機体は初期モデルと思われますが、その後、同じメカを搭載する最終のZE700まで、幾度となく改良が繰り返されています。

最終手段です。整備済みのリールユニットごと交換します。

症状は完全に解消されました。

入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、完成です。

-DTC-57ES
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