今日はVICTORの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V731の修理を行います。
3か月ほど前から不具合が発生したということです。
TDシリーズの定番の故障です。再生はできるが、早送り巻き戻しができないというものです。また。FLディスプレイからノイズが発生するということでしたが、それは再現できませんでした。電源周波数の関係でしょうか?
個人の聴力の差ということも考えられますので、スマホのアプリを用いてディスプレイON-OFF時の音の発生状況を測定します。問題は無いようです。
カバーを開けます。
この機種は、下位機種と異なり、メカがケースに組み込まれていて、ケースごと脱着ができますので整備性が良好です。
ケースからメカを取り出します。養生テープはカウンターのFL管破損防止のため貼っています。これまで一度だけですが、作業中に破損するという痛い目に会いました。
リール間のアイドラーは、早送り巻き戻し専用です。おそらくここのギヤが破損しています。
こちらのギヤはヘッドとピンチローラーを上下するためのものです。ここも破損することがあります。
モーターを取り外します。
ギヤが完全に欠けています。
当店オリジナルのギヤに交換します。
もう一つのギヤも割れが生じていますので交換します。
再生用のアイドラーゴム、ピンチローラーを専用クリーナーで処理します。
メカを元通り組み立て、本体に組み付けます。
走行テストを行います。快調です。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。少し狂いが大きいので、オーナー様に調整の是非を確認します。
GOサインが出ましたので、モーター背面にドライバを差し込んで調整します。
再生ヘッドのアジマスを調整します。
この機種は録再独立ヘッドですので、録音ヘッドのアジマスも調整します。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしてバランス調整を行います。
複数のテープで録音再生状況を確認し、完成です。