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TC-K555ESA

SONY TC-K555ESA RCH録音不良(コイル断線)

投稿日:2021年2月23日 更新日:

本日はSONYのフラッグシップモデルTC-K555ESAのリフレッシュメニューでの整備を行います。しかし、整備後に意外な故障が待っていました。

動作不良ということです。

早送りは可能、再生は不可という状態です。

カバーを開けます。

この機種は、カバーに通気用のスリットが設けられているタイプですが、トランスに埃がまったくと言っていいほど付着していませんでした。オーナー様が清掃したのでしょうか?

メカを降ろします。

カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。ピンチローラーの状態は比較的良好ですので、再利用を行います。

キャプスタンモーターを切り離すためには、ピンチローラーアームの脱着を伴います。左側は調整式になっていますので、取り外し前に位置を測定しておく必要があります。しかし、測定値が異常値を示しました。ピンチローラーアームが1mmほど前方にせり出しています。

アイドラーとピンチローラーアームを取り外し、キャプスタンモーターを切り離します。

モーターを分解します。

先ほどピンチローラーアームが1mmせり出していたのは、このシャフトが抜け出したのが原因です。一旦引き抜き、

差し込み部に抜け止め処置を施します。

モーター基板の電解コンデンサーを点検します。右側の端子が曇っているのは液漏れが原因です。

新品に交換します。

キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、新しいベルトを掛けて組み立てます。

メカのフロント部を分解します。ベルトが伸びています。

ベルトの掛かるプーリーを脱脂して、新しいベルトを仮掛けします。

ローターリーエンコーダーを分解します。

接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。

テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。

元通りに組み立てていきます。

ピンチローラーを研磨清掃します。

メカの整備が完了しましたので本体に戻して走行テストを行います。

ピンチローラーの脱着を行ったときは、テープパスの点検が必須です。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。

315Hzの信号が記録されたテープを再生します。速度はOKです。

ヘッドアジマスの調整を行います。ここまでは順調でしたが、

録音を行う前にバイアス調整を行おうとしたところ、メーターがまったく振れません。

録音を行ってみると、RCHがダメです。以前、555ESAで同じ症状を経験しましたが、

その時は、このRECLEVELの接触不良が原因でしたが、今回は違うようです。次に、ヘッドのコネクタを逆挿しにしてヘッドを点検しましたが、異状はありません。ということは、録音回路の故障です。修理を行う場合、費用が当初の見積額に加算されますので、オーナー様にご意向を伺います。

ほどなくしてGOサインが出ましたので、修理に移ります。

パソコンでサイン波を発生させて、デッキのLINR-INに入力します。

録音状態のまま、信号がどこで途絶えるのか、回路図を見ながらオシロスコープを当てて追っていきます。

正常な場合、同じサイン波が検出されます。

すると、録音ヘッドの直前で異常な状態になっていることがわかりました。テスターで周辺の怪しいパーツを順番に点検します。しかし、ICやトランジスタ、ダイオードに故障は見られません。

かなり時間が経過し集中力が無くなりかけた頃です。「ここにはまさか無いよな?」と、ヘッド直前のコイルL104(RCHはL204です)にテスターを当てると、導通がありません。ついに見つけました。

写真中央の黒色の円柱状のパーツがそれです。

初めての経験です。こういったパーツは故障しないと思い込んでいましたが、内部で断線しているようです。早速ジャンク基板から移植します。

無事治りました。まさかコイルが故障とは・・・

調整に戻ります。左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしてバランス調整を行います。

複数のテープで録音再生状況を確認し完成です。

-TC-K555ESA
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