KENWOODの2ヘッドカセットデッキ、KX-880SRⅡの修理依頼をいただきました。
15年ほど前から動作不良が起こり、この10年間はまったく使用していなかったということです。
操作ボタンを押すと、ランプは点灯しますが、メカは動く気配がありません。また、トレイOPENが不調です。
カバーを開けました。キャプスタンは回転しています。
メカを取り出します。
化粧パネルを固定するビスが片方紛失しています。
ホルダーを切り離します。
このメカは、まず、このモーターと、
そのモーターで回転するカムギヤによりONOFFするスイッチのメンテナンスが必要です。
先ほどのモーターを取り外すためには、まず、この金具を取り外します。
するとカムギヤを固定しているビスが現れますので、モーターを取り外すことができます。
モーター内部の接点に接触不良が起きていますので、自己回復を図るため直接電圧を印加し、高速回転状態で数時間放置します。
アイドラーを取り外します。
ゴムリングを交換します。
リールモーターも先ほどと同様、直接電圧を印加し回転させたまま放置します。
スイッチの接点を清掃します。
機器内部からプラスチックの破片が出てきました。
カセットホルダーを開けるためのスプリングを引っ掛ける箇所が折れています。そのためOPEN動作が不調だったようです。
折れたものを接着剤で修復してもスプリングの力ですぐに破損します。代替措置として、穴を開けて鋼製のピンを差し込みます。
ここで一度本体に仮接続して動作状況を確認します。無事動作するようになりました。
メンテナンスを続けます。テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。
ピンチローラーを脱着し、表面を軽く研磨後、専用クリーナーで処理をします。
ヘッドも汚れや錆が見られますので軽く研磨します。このヘッドは取り付け部が非常にヤワですので、不要な力を加えるとヘッドが傾きますので注意が必要です。
ホルダーを取り付けます。バネは、先ほど補修したピンに掛けます。
OPENは良好です。
最後にテープをセットしたことを検知するスイッチの接点を清掃し、本体にメカを組み込みます。
動作OKです。
調整に移ります。315Hzの信号が記録されたテープを再生します。約2%の狂いです。
調整後です。
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、録音します。それを再生しながらバランス調整を行います。
数種類のテープで録音再生状況を確認し、完成です。