これまでに何度かお取引いただいている方から、Lo-Dの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、D-707Ⅱの修理依頼をいただきました。
オーナー様な数年前に動作品として入手されたということですが、現在は不動状態となっています。
操作ボタンを押すとランプは点灯しますが、メカの反応はありません。
カバーを開けて点検します。
キャプスタンベルトは2本あるうちの1本がありません。
こちらはリール用のベルトでしょうか?溶けて切れています。
メカを取り出します。
背面のモータープレートを取り外します。
溶けて巻き付いたベルトを除去しアルコールで清掃します。
こちらも同様です。清掃し、新しいベルトを掛けます。
カセットハウジング内の化粧パネルを取り外します。
アイドラーがスリップしてリールが上手く回りません。
アイドラーゴムが硬化していることも原因ですが、右側リールと連結しているギヤの回転が非常に重くなっているのが一番の原因のようです。
アイドラーユニットを取り外します。
先ほどのギヤを取り外します。
ギヤの中心部を削ります。回転がスムーズになりました。
アイドラーは特殊なタイプですので代替品がありません。表面を研磨し、専用クリーナーで処理します。
動作テストを行います。これでようやくテープ走行が可能になりました。
ピンチローラーはかなり硬化していましたので新品交換します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生します。ベルトを交換しテンションが変化したこともありますが、5%と大幅な狂いです。
調整を行います。数値は上下しますので、315Hzを中心に数字が振れるように合わせます。
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしてバランス調整を行います。ここであることに気が付きました。無音時にしかわかりませんが、再生時に、ヒスノイズではない、電気的なノイズが発生してることがわかりました。
入出力端子に触れるとノイズは大幅に低減します。アース不良のようです。カセットデッキは、ノイズ防止のため、アースラインとメカはどこかでつながなければなりません。
底板を取り外して、アースの位置を探します。
見つけました。写真中央のビスを固定する箇所がアースラインです。ここにスチール製の底板を固定し、
底板とメカが繋がるこのビスでアースを取っています。
接触不良が原因ですので、出力端子のアースにワイヤーを接続し、底板との接触回復を図ります。
ノイズは大幅に改善されました。ポジションの異なるテープ数種類で録再テストを行い完成です。