PIONEERのCT-8の修理依頼をいただきました。
1年ほど前まで未使用品として保管されていた機器で、昨年、カウンターベルトの交換等を他店で行ったということです。
早送り巻き戻しはOKですが、右側リールが回転せず再生ができません。
カバーを開けました。さすがに中身も綺麗です。私が所有しているCT-8とは大違いです。
メカを観察します。2枚目の写真の中央に写っているのが再生用のアイドラーですが、再生状態にしてもまったく回転しません。ゴムの劣化ではなく何かメカニカルな故障でしょうか?
フロントパネルを取り外し、メカを引き上げます。
メカを前に倒して、背面から順番に分解していきます。
2枚目写真の中央が先ほどのアイドラーです。写真を撮るのを失念しましたが、シャフト部が固着していましたので、分解し、グリスアップを行いました。アイドラーゴムは特殊なサイズで入手できませんが、状態は良好でしたので、表面を軽く研磨し、専用クリーナーで処理しました。
リールモーターを取り外し、早送り巻き戻し用のアイドラーゴムを代替品と交換します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、元通りに組み立てます。
ピンチローラーを脱着し、研磨清掃を行います。
メカを本体に組み込みました。走行状態は良好です。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音してバランス調整を行います。
複数のテープで録音再生状況の確認を行います。バイアス固定ですのでテープを選びますが、TDKのADは相性が良いようです。
完成しました。見ても、触っても、聴いても楽しいデッキです。