少し前にジャンク品のTEAC製V-870を入手しました。３ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキです。
まったくの不動品です。
基板上のパーツの並びが整然として美しいですね。
メカを観察します。キャプスタンベルト、モードベルトのいずれも消え去っていて、どこにも見当たりません。ベルトの残骸の清掃だけ行うということは考えられませんので、何か事情があったのでしょうか？少し嫌な予感がします。
メカを取り出します。ヘッドは異なりますが、V-9000と同じメカです。
まずは黄色いプーリーが固着していなこと確認し、モードベルトを掛けます。径50ｍｍです。
キャプスタンモーターが取り付けられているプレートとフライホイールを取り外します。
リールユニットを取り外し、アイドラーゴムを交換します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、組み立てます。
ピンチローラーアームを取り外し、ゴムの表面を研磨清掃します。左側のアームは調整式になっていますので、取り外し前に元の位置を測定し記録しておきます。ピンチローラーは軸径が1.2ｍｍと特殊なサイズですので、代替品の入手は困難と思われます。
テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。
メカを元に戻して動作テストを行いました。ところが、音が波打っています。また。テープから「クシャクシャ」という嫌な音が聞こえてきました。テープを確認すると、テープ走行が不安定な時にできるシワが見られました。
ミラーカセットをセットして、テープの走行状態を確認すると、左側のピンチローラーのところでテープがよれています。ピンチローラーの位置が狂っています。
調整を行うために再度メカを降ろします。ピンチローラーアームが0.5ｍｍ程度、前方にズレていたようです。今回の整備では元の位置に取り付けましたので、修理前から位置が狂っていたようです。これが原因で前オーナーは諦めて手放したのでしょうか？
テープパスの調整は、「一直線であること」を目視で点検しますが、それと同時に「テープがよれていないこと」「再生開始時に音が波打たないこと」、以上３つの項目を確認する必要があります。
調整後にネジロック剤を塗布します。
先ほどの３つの条件をクリアしました。
テープ速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマスを調整します。
バランス調整を行います。
聴感テストを行い、修理完了です。
