SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K222ESAの修理を行います。
3か月前までは正常に動作していたそうですが、
トレイは開きますが、ヘッドが上がらず再生できません。
カバーを開けます。今回は「リフレッシュメニュー」での整備になりますが、この222ESAと222ESLでは、他の機種では必要のない作業が必須となります。
指で指しているのは、銅板でできたアースラインです。
メカと基板を取り出します。
基板を裏返します。銅板は10か所前後、半田付けされていますが、2枚目の指差ししている箇所のように半田割れが生じています。銅板の収縮によりクラックが生じると考えられます。
半田割れしていないところも含め、すべて半田を盛ります。
ついでに、力の加わる入出力端子の接続部にも、同様に半田を盛ります。
基板を本体に戻し、メカの整備に移ります。カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
アイドラーとピンチローラーアームを取り外します。左側のピンチローラーアームを取り外す際に、シャフトが緩んでいることが分かりましたので、後ほど処置を行います。
硬度計を用いてゴムの弾力の度合いを点検します。再利用が可能なレベルですので、表面を研磨清掃します。
キャプスタンモーターを切り離します。
先ほど緩んでいたシャフトの位置を確認します。47.7mmは製造時の値と同じですので抜け出してはいません。
キャプスタンモーターを分解します。
緩みの見られるシャフトを一旦引き抜きます。
緩み止め措置として、差し込み部に少し傷を付けて、打ち込みます。
キャプスタンモーター基板上の電解コンデンサーの端子が変色しています。
液漏れが発生していましたが、基板にはダメージはありませんでした。リード型のケミコンを取り付けます。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカのフロント部を分解します。
ベルトが伸びています。
プーリーをアルコールで脱脂します。
新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。
組み立てていきます。この時点ではベルトは仮掛け状態ですので、
ピンセットでベルトを摘まんで、モータープーリーに掛け直します。
元通りに組み立てます。ピンチローラーは事前に測定した位置に調整します。
テープ走行OKです。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。問題ありません。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアス調整を行った後、左右同レベルの信号を入力しそれを録音再生モニターしてバランス調整を行います。
複数のテープで録音再生状況を確認し、修理完了です。