ナカミチのCR-40の修理依頼をいただきました。
動作品ということですが、録音の音質も含め、いくつか不調な点があるということです。まずは現在の状態を点検します。
再生ヘッドのアジマスは僅かに狂いがありますが、周波数特性は悪くありません。
録音ヘッドのアジマスも僅かな狂いです。
録音の周波数特性も特に問題はありません。
カバーを開けます。まずは、メーターの不調を修理します。
写真ではわかりにくいのですが、メーターの0dB以上が、本来光らないはずのレベルでチラチラと薄く光ります。こういった中途半端な症状は、パーツの劣化が原因です。
メーターアンプの回路図を点検します。この回路で劣化しそうなものといえば、C180、C280の電解コンデンサー(10μF/25V)です。
作業の支障になる電源基板を取り外し、交換します。指差ししているのが新品です。
治りました。
メカのメンテナンスに移ります。
カセットハウジング内の化粧パネルを取り外します。バックテンション用ベルトが切れています。これが原因でテープにシワが付いたものと思われます。
新しいベルトを掛けます。
カセット検出スイッチの接点を清掃します。
カセットホルダー、ヘッドブロックを取り外します。
ピンチローラーの表面を研磨清掃し、専用クリーナーで処理します。
カムモーターを取り外し、スイッチ接点を清掃します。
モーターに直接電圧を加え、高速無負荷でしばらくの間、回転させ、内部接点のリフレッシュを促します。
キャプスタンモーター基板、フライホイールを取り外します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、新しいベルトを掛けて組み付けます。
誤消去検知孔の検出スイッチの接点を清掃します。
メカを元通り組み立てて、本体に戻します。テープ走行OKです。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。少しヘッドが奥側に寄っているようです。そのためか、再生バランスも狂いが見られます。このデッキは中古購入されたということですので、以前の所有者時代に手を加えられたのでしょうか?おそらくバックテンションが狂った状態で調整され、それが正常に戻ったことで影響が出たものと思われます。
普段は触ることはありませんが、ヘッドの位置調整を行います。元の位置はマーキングしておきます。テストテープを再生して、左右の出力が最大になるところがベストポジションです。もちろん録音ヘッドも録音再生モニターを行いながら調整を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生ヘッドと録音ヘッドのアジマスを調整します。
左右同レベルの信号を入力し、バランス調整を行います。この機種はテープポジション別に行います。
複数のテープで録音再生状況を確認し、修理完了です。