当ブログ初登場、Aurex製のカセットデッキPC-X66ADです。これまで当店で2台のカセットデッキを修理されたお客様からのご依頼です。
なぜか、Aurexとは今まで縁がありませんでした。
2ヘッド、シングルキャプスタンのオーソドックスな仕様です。
動作品ということですが、「モーターの音が大きい」「音が籠っている」ということで、全体的なメンテナンスのご依頼です。
カバーを開けます。モーターはダイレクトドライブです。アイドラーゴムにOリングが用いられていて、回転が偏心しているのが気になります。
メカの脱着に支障になる基板を取り外します。
初めて見るメカですのでじっくり観察します。
まずはピンチローラーを交換します。13.5mm*9mm*2mmです。
左リールに装備されたバックテンション用のブレーキパッドを点検します。問題ありません。
背面から分解します。ソレノイドユニット、
DDモーター基板、
フライホイールを取り外していきます。
リールユニットです。回転部分をグリスアップします。
カウンターベルトは2本あります。まずは1本目を交換します。
アイドラーです。ここのゴムに接地面積の小さいOリングが使用されることはほぼありませんので、おそらく以前修理の際に交換されたものと思われます。内径がわずかに大きいため、偏心が起きていました。
14mm*10mm*2mmのゴムリングと交換します。一旦組み付けて、モーターに直接電圧を印加し、動作状況を確認します。
接点を清掃します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、組み立てます。
カウンターに繋がるベルトを交換します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。アイドラーの偏心はありません。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
調整後です。
アジマスを測定します。右写真は周波数特性です。グラフの横軸は周波数、縦軸は出力です。緑色のグラフは、左から315Hz、1000Hz、10000Hz、12500Hzですが、10000Hzと12500Hzの高域がかなり減衰しています。
調整後です。高域の出力が大幅に改善されたのがわかると思います。
左右同レベルの信号を録音し、それを再生しながらレベル調整を行います。
複数のテープで録音再生状況を確認し、完成です。