同じお客様からPIONEERのD-50とD-05の2台、修理依頼をいただきました。
まずはD-50です。トレイが開きません。
カバーを開けて点検します。
ローディングメカの動きがかなり重くなっています。パーツ同士が擦れる箇所にグリスを塗布します。これでテープのローディングはできるようになりましたが、音が出ません。
ヘッドの信号を処理するRFユニットです。電解コンデンサーの液漏れにより基盤が痛んでいます。中央のICの端子も腐食していて、修復は無理な状態ですので、これ以上修理を進めることはできません。
続いてD-05です。カセットをセットしてもテープ走行しません。
カバーを開けてメカの様子を点検します。テープがローディングされてもヘッドが回転しません。ヘッドの故障でしょうか?
メカを降ろします。
修理不可となったD-50からヘッドを移植します。しかしやはりヘッドは回転しません。ほかに故障があるようです。
原因を突き止めるのに少し迷走しましたが、テープガイドが所定の位置まで戻らないことが判明しました。
リールユニットを取り外すと、テープガイドを駆動するギヤが現れます。
このギヤの噛み合わせが狂っていました。テープが引っ掛かるなど、かなり強い力が加わったものと思われますが、かなり珍しい故障です。
これでヘッドは回転するようになりましたが、依然として音は出ません。
D-50から移植したヘッドが故障していたようです。結局、元々付いていたヘッドと交換し、音が出るようになりました。
ヘッドの脱着を行いましたので、念のためテープパスを点検します。
メカを再度取り出して、必要なメンテナンスを行います。
ロータリーエンコーダーの接点を清掃します。
ピンチローラーの表面が劣化していますので、軽く研磨し、専用クリーナーで処理します。
RFユニットの電解コンデンサーを交換します。
モード別、入出力別の録音再生状況を確認し、
完了です。