SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K222ESLの修理依頼をいただきました。
5年ほど前から不動となり、メーカーに修理を断られてそのままの状態だったということです。
イジェクトボタンを押してもモーター音が数秒聞こえるのみで、開閉不可です。
カバーを開けました。キャプスタンモーターが回っていません。
トレイのロックを解除し、リッドを取り外します。
メカとメイン基板を取り出します。
基板の半田クラックを修正します。
メカのメンテナンスに移ります。カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
アイドラーとピンチローラーアームを取り外します。
劣化しているピンチローラーは交換します。
左側のピンチローラーは、コアが抜けていました。
キャプスタンモーターを切り離します。
分解します。キャプスタンのシャフトにグリスを塗布します。
モーター基板の電解コンデンサー周辺は、液漏れでプリントパターンが痛んでいます。
断線している箇所にバイパスを処置し、新しいコンデンサーを取り付けます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカのフロント部を分解します。
ベルトが溶けて巻き付いています。
プーリーを清掃・脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
あまり汚れていません。接点を研磨清掃し元通りに組み立てます。
テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。
メカを組み立てて、ベルトをモータープーリーに掛け直します。
メカのメンテナンスが完了しましたので、本体に戻して走行テストを行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状況を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。許容値内です。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録音バランス点検のため、バイアス調整を行ったところ、キャリブレーションが不調です。ノーマルテープでは内部のトリマ調整で何とか対処できましたが、クロムとメタルがダメです。点検したところ、録音ヘッド劣化の可能性が高いことがわかりました。修理を行う場合、当初の見積額を大幅に上回りますので、修理の可否についてオーナー様に確認したところ、「録音は行わない」ということで、今回の修理はここまでとなりました。
録音バランスの調整を行い、
録音再生状況を聴感で点検し、修理完了です。