カセットデッキに使用されているモーターの互換性を検討するため、回転数を計測できるデジタル回転計(タコメーター)を購入しました。
単4電池2本で作動します。電源ボタンを長押しすると、先端から赤外線が放射されます。
付属している反射テープを計測対象に貼ります。このテープに赤外線を当てて、1分間に反射してくる回数を測定するという仕組みです。
モーターのシャフトの回転数を測定するのですが、測定の対象であるシャフトが細いため、ギヤを取り付け、そこにテープを貼ります。分かりやすいようにテープの位置をマーキングしています。
モーターに電圧を加え、写真のように計測します。早速開始します。
まずは、計測器がおおむね正しい値を測定できるのか確認したいと思います。これはキャプスタンモーターに使用されているEG-530AD-2Bです。モーター側面に12V2400RPM(12Vで1分間に2400回転)と表示されています。
不要になったパソコンのATX電源を改造した自作の電源装置(3.3V、5V、12Vの可変電圧)を用いて電圧を印加します。
11.8Vで2478RPMです。このモーターは回転数の調整ができますので、測定値は多少上下しますが、精度は別として、これでこの計測器の測定値がおおむね正しいことが分かりました。
それでは規格が不明なモーターの回転数を計測していきます。まずは、故障が比較的多い、BHS7B03です。KENWOODの880、1100のほか、ナカミチのCR-30(40)、ZX-5などのリールモーターに使用されています。
3.25Vで1525RPM、
5.14Vで2441RPMです。電圧と回転数はおおむね比例しています。
続いて、AKAIのGX-93(73)などのリールモーターに使用されているRF-510Tです。
3.25Vで1096RPM、
5.11Vで1755RPMと比較的低速仕様です。
SONYのESシリーズに使用されているリールモーターです。
3.26Vで1220RPM、
5.13Vで1983RPMです。
PIONEERのCT-970用リールモーターです。以前の修理の際に、内部接点の接触不良が判明したため交換したものですが、低速回転時以外は正常に動作します。
3.25Vで1229RPM、
5.1Vで2329RPMです。
今回はここまでとしますが、今後、カセットデッキに採用されている各種モーターの電圧別の回転数を測定していきたいと思います。
近年、モーターの不具合による故障が多く見受けられるようになりましたが、分解修理不可の場合や同じものが入手できない場合に、互換モーターとの換装を行う必要があります。しかし、製造から30年以上経過した現在では、ほとんどのモーターの規格が不明であるといった状況です。今後はこういったデータも参考にデッキの修理に生かしていきたいと思います。
なお、モーターでは、もうひとつの要素である「トルク」という点も重要ですが、これについてはモーター単体での計測が難しいため、
換装後にトルクメーターで計測を行い、リールのトルクが適正であるか確認することとしたいと思います。