Aurexの2ヘッドカセットデッキ、PC-X66ADの修理依頼をいただきました。
故障後15年以上保管状態だったということですが、当店のブログをオーナー様がご覧になったのがきっかけで今回の修理に至りました。
再生は可能ですが、走行時に異音が発生しています。また、左CHは音が出ず、右CHは音は出ますがメーターが振り切れます。
早送りや巻き戻しはアイドラーがスリップして動作不良です。
再生はとりあえず可能ですので、まずは「音が出ない」「メーター不具合」の修理を進めます。
再生レベル調整用の半固定抵抗です。酸化して真っ黒になっています。
底板が脱着可能ですので整備性は良好です。劣化したパーツを交換します。
これで左右CHから音が出るようになりましたが、今度はメーターが左右とも振り切れています。
メーターの調整用半固定抵抗を交換します。
メーターの動きもおおむね正常になりました。微調整はメカの整備後に行います。
メカ脱着に支障となるADRES基板を取り外します。
メカを取り出しました。
メカ背面です。ソレノイドユニットを取り外し、
キャプスタン基板を取り外し、
キャプスタンフライホイールを取り外し、
ようやく目的のリールユニットにアクセスできます。
アイドラーを脱着して硬化しているゴムリングを交換します。
カウンターベルトを交換します。
誤消去防止検出スイッチ等の接点を清掃します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、元通り組み立てます。
ピンチローラーの状態を点検します。
かなり硬化が進行していますので交換します。
メカを本体に戻して動作テストを行います。
VOL類のガリは、内部から接点復活剤を処置します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生レベルの調整を行います。
メーターの調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録音バランスとレベル調整を行います。
録音時に接触不良が原因と思われるノイズがときどき混じります。
録音レベル調整用の半固定抵抗を交換します。
これで完了という直前に新たな不具合が判明しました。ADRESをONにして録音再生すると音が籠ります。オーナー様に修理の是非を確認し、
今回はここで修理完了となりました。