SONYの4ヘッドDATデッキ、DTC-2000ESです。
しばらく使用しない間に不調となったということです。
操作ボタンを押すと、ディスプレイが暴走し操作不能となります。
リモコンで操作すると暴走は起こりませんが、テープを再生しても音が出ません。クリーニングテープを長めに走らせましたが改善は見られません。
カバーを開けました。
標準のスポンジ製ヘッドクリーナーは、ヘッドを痛めますので撤去します。スポンジが変質し、ドラム周辺にこびり付いていますので、後ほど清掃します。
ミニサイズの拡大鏡を用いてヘッドチップを点検したところ、表面に汚れが付着していることが確認されましたので、楊枝などの先端の柔らかいものを用いて汚れをそぎ落とします。
無事音が出るようになりました。
ディスプレイ暴走の修理を行うためにフロントパネルを取り外します。
基板を脱着してタクトスイッチ18ケの交換を行います。
続いてメカのメンテナンスに移ります。
ローディングベルトの状態は良好です。
メカを裏返してMD基板を取り外します。
構成パーツを分解します。
リングギヤです。銀色のパーツが本来はスライドするのですが、固着しています。
製造時に処置されたグリス硬化が原因ですので、CRCで拭き取ります。
スライド部にシリコングリスを処置しました。
この機種と77ESは、リングギヤが調整式となっています。金色のナットで微調整を行います。
ベルトを交換し、ギヤ類を組み付けます。ギヤの差し込み部には異音防止のためグリスを塗布します。
2DDリールユニットです。ブレーキパッドの貼りつきが無いか確認し、ブレーキの効き具合を点検します。
元通り組み立てます。
トレイユニットを切り離します。プラスチックパーツ同士が擦れる箇所にグリスを処置します。
(写真は清掃前です)製造時に塗布されたグリスで汚れていますので清掃します。
ピンチローラーです。引っ張ると簡単に抜けてしまいました。
樹脂製の留め具が割れています。また、ピンチローラーのゴムが硬化しています。
ゴムを張り替えたものと交換します。
細いシリコンチューブを切断し、留め具の代用品として使用します。
テープ検出スイッチです。すでに接点復活剤が処置されていました。
メカのメンテナンスが完了しました。
ディスプレイ暴走が解消されたかどうか。また、正常に操作できるかを確認します。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、修理完了です。