SONYの4ヘッドDATデッキ、DTC-2000ESの修理依頼をいただきました。
大きく2点の不具合があるということです。
ひとつは定番のディスプレイ表示暴走です。これは操作スイッチの接触不良が原因ですので、
リモコンで操作しテープの再生を行います。すると、メーターは振れますが、なぜかLINE-OUTからは出力がありません。ヘッドホン端子やデジタル出力からは音声出力がありますが、速度が小刻みに変化しているような非常に奇妙な音です。
カバーを開けてメカを観察すると、キャプスタンの回転が不規則になっているのがわかりました。モーターユニットあるいはMD基板の故障が疑われます。
メカを降ろしました。
メカ底面の基板を取り外し、キャプスタンモーターユニットを交換します。
これで走行は正常になり、LINE-OUTも出力するようになりました。
次はディスプレイ暴走の修理を行います。フロントパネルを取りはずします。
この基板に取り付けられているタクトスイッチが原因ですので、
18ケすべて交換します。
続いてメカのメンテナンスを行います。
裏返してMD基板を取り外します。
リングギヤの動作状況を確認したところ、左右の可動式テープガイドが、本来は同時に動くはずが、左側が先に動き、少し遅れて右側が時間差で動きます。なぜでしょうか?
リングギヤを取り外しました。
ギヤが変形していましたので修正します。これが動作不良の原因と思われます。過去に無理な力を加えて駆動部を破損したことがあるということですので、そのことと関係があるかもしれませんが、今となっては知る由もありません。
テープガイドのアームも歪んでいましたので交換します。
古いグリスを拭き取って、再グリスを行います。
今度は正常に動作します。
新しいベルトに交換します。
2DDリールユニットです。左側のブレーキの効きが弱くなっています。
分解したところ、パッドが脱落していました。
新しいパッドを貼ります。
元通りに組み立てます。
カセットホルダーを切り離します。ホルダーの可動部にグリスアップします。
ピンチローラーの状態は良好です。
テープ検出スイッチの隙間から接点復活剤を微量注入します。
メカのメンテナンスが完了しましたので、本体に仮接続して動作テストを行います。動作自体は問題ありませんが、テープローディング時に「コトコトコト・・」と少し大き目な音が発生します。
ローディング用のプラスチックギヤを交換します。これも僅かに変形していたようです。
交換したスイッチが作動するか点検します。
モード別、入出力別の録音再生状況を確認し、
完成です。