ナカミチの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、LX-5の修理依頼をいただきました。
10年ほど放置状態だったということで、テープ走行が不安定ということです。
アイドラーゴムが硬化しているためでしょうか?再生や早送りを行うと「ゴトゴトゴト・・・・」という異音を発します。しかし、問題は、オートストップが作動し、すぐに走行停止となることです。もちろんリールは回転しますし、ヘッドやピンチローラーも上下します。
それでも一瞬音は出ます。しかし、カウンターが「0」のまま動作しません。ということは、リールの回転を検知する回路の故障でしょうか?
これが回転を検知するシステムです。ランプの光を後方にあるセンサーが検知するのですが、リールの回転がゴムベルトを介して、ランプとセンサーの間にある黒い羽根を回転させ、断続的な信号に変換します。その信号をICなどで処理し、オートストップやカウンターの動作を行うというものです。確認したところ、ベルトの劣化やランプ切れはありません。
回路図を見ると、「センサーからの断続的な信号」は、「センサー用IC」で処理されて、その後、「カウンタ用回路」と「オートストップ回路」に分岐します。ということは、前段の「センサー」または「センサー用IC」が故障している可能性が大です。
ネットで検索し、
センサー用ICを入手し、交換しましたが、残念ながら症状に変わりはありませんでした。もうひとつのセンサーは入手不可でしたので、ここで万事休すということで、修理は一旦中止することになりました。しかし、なんとなく気になったので、後日、時間が取れたときに再チャレンジすることにしました。
カウンターをよくよく観察すると、完全な「0」ではなく、わずかに「8」のような表示にチラついていますので、カウンター回路に問題がある可能性があります。
試しにカウンタのコネクタを引き抜きました。もちろんこれでカウンタは点灯しませんが、
オートストップの誤作動は解消され、正常にテープ走行するようになりました。まさかカウンター回路の故障でオートストップが誤作動するとは意外な結果でした。
カウンター用のICは入手が困難ですので、とりあえずメカの整備を行い、テープ走行や再生はOKとなりましたが、録音時のノイズ発生、ドルビーの誤作動など、次々に不具合があることが判明しました。そのため今回はここまでとなりましたが、やはり40年以上経った機器を維持することは難しいですね。