これまでDATデッキやカセットデッキの修理で当店をご利用になった方から、新たなデッキ修理のご依頼です。
SONYのTC-KA7ESです。数年前にベルト等の交換を行ったということです。少し前から当店に、「なんとなく音質が悪いのが気になる」というご相談を受けていましたが、今回、メカの不具合が発生したということですので機器をお送りいただきました。
ヘッドが上がらないことがあるということでしたが、当店での点検時は正常に動作しました。温度や湿度の関係と思われますが、いずれにしても今後悪化の一途を辿るでしょうから、修理が必要です。
カバーを開けます。
メカを取り出します。
分解を進めます。ヘッド周りの状態は良好です。
アイドラーとピンチローラーを取り外します。
ピンチローラーの状態は良好です。表面を軽く研磨し、S-721Hで処理します。
分解を進めます。
不具合の原因と思われるベルトを外すことができました。
劣化により少し弾力が失われていることと、表面に液状のものが浮き出しています。そのためスリップしやすくなっていたようです。
プーリーをを脱脂し、新しいベルト(国内工場で製作したものです)を仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を清掃します。
元通りに組み立てます。
メカを本体に戻して走行テストを行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。許容範囲ギリギリです。調整はできませんが、原因はキャプスタンの摩耗と考えられます。
周波数特性を点検します。オーナー様がおっしゃるとおり高域の出力が低い状況です。
ヘッドアジマス調整を行います。
高域の出力が大幅に改善されました。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、完成です。