同じお客様からDATデッキとカセットデッキの修理依頼をいただきました。2台とも10年以上放置状態だったということです。
カセットデッキはA&DのGX-Z9100ですが、その修理記事は後日掲載したいと思います。
まずはDATデッキのDTC-A7です。民生用のDTC-57ESと姉妹機になるデッキですが、業務用ということで、メカの安定性が高められています。
イジェクトボタンを押すと、「OPEN」と表示されますが、リッドが開きません。
カバーを開けました。触っているのはリッド開閉用のプーリーですが、グリスが固着して非常に回転が重くなっています。
メカを降ろすためにはリッドを取り外さなければなりませんので、何とかプーリーを回して手動で開けました。
メカを降ろしました。
固着しているプーリーを脱着して、シャフト部に付着した硬化したグリスを清掃後にシリコングリスを処置します。しかし、これで修理を終えることはできません。なぜなら、このメカには必ずメンテナンスをしなければならない箇所があるからです。
メカを裏返し、基板とリールユニットを取り外します。
まずは、このメカの最大の弱点を処置します。白黒のギヤは可動式テープガイドを駆動するためのものですが、ギヤを固定する留め具が割れてギヤが脱落し不動となります。
割れた留め具の代替品として鋼製のEリングを取り付けます。
リールユニットです。
回転するパーツを分解し、必要な箇所にグリスを処置します。
カセットホルダーを取り外します。
スポンジ製のヘッドクリーナーは、性状が変化して回転ドラム表面を侵しますので撤去します。
ドラム表面にスポンジのカスが付着していますので、拡大鏡を用いて表面を清掃します。
ピンチローラーの状態は良好です。
中央の白色の四角いパーツはカセット検出スイッチです。接触不良を予防するため、隙間から接点復活剤を微量注入します。
メカを元通り組み立てて、本体に組み込み動作テストを行います。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、完成です。