Nakamichiの700Ⅱの修理依頼をいただきました。
音が揺れたり、再生が停止するようになったということです。
テープ走行はできましたが、ほとんど音が出ません。
カセットを取り出すと、テープが引き出された状態でした。
ヘッド周りの状態を点検します。キャプスタンにかなりの量の磁性体がこびりついていました。また、ピンチローラーも汚れが見られましたので、両者とも清掃を行いました。
これでかなりの改善が見られましたが、音が波打ったり、出たり出なかったりします。
トルクメーターで左右リールのトルクを計測すると、巻き取り側のトルクが通常は40kgのところ、60~80kgと異常に大きいことがわかりました。
まずは本体のカバーを取り外します。
裏側です。右写真の白色の円形のパーツの中に備えられているクラッチ機構が、リールモーターからの動力を調整するようになっています。
フライホイールを取り外し、白色のパーツを固定しているビスを緩め、クラッチの効きが弱くなるよう調整します。適正値になるまで、「調整-組立-測定-分解-調整-組立-測定・・・」を繰り返します。
かなりテープ走行は安定しましたが、依然として右CHの音が出たり出なかったりします。
基板の黒いパーツに触れると状況が変化しましたので、この辺りに接触不良があるようです。
コネクタの接触不良が原因でしたので、接点復活剤を処置します。
コネクタの差し込み部が緩いため、スペーサーを挟みます。これで出力の不安定さは解消されました。
ここにも同じようなコネクタがあります。触れると突然モーターが停止しました。先ほどと同様、一旦引き抜いて接点復活剤を処置します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ピッチコントロールがセンターの状態で、モーター基板の半固定抵抗を回し、
調整を行います。
操作ボタンはタッチセンサー方式ですが、ボタンによっては反応が鈍い状況です。また、REC-VOLやOUTPUT-VOLに接触不良が見られます。
フロントパネルを取り外します。
タッチパネルの裏側です。
内側に各ボタンごとのワイヤがあって、そこに接するボタンに触れることにより静電容量が変化しスイッチが入る仕組みです。
ボタンとワイヤの接点部分に接点復活剤を処置します。
コネクタも先ほどと同様、接点復活剤を処置し、差し込み部にスペーサーを挟みます。
VOLの接触不良は、内側から、VOLの隙間に接点復活剤を処置します。
カウンタリセットボタンの色が褪せていますのでシリコンオイルを塗布します。
テストテープをセットし、左右同レベルの状態でメーターの調整を行います。
再生ヘッドのアジマスを点検します。
調整はPHというツマミを回します。
録音ヘッドのアジマスを点検します。
テストトーンをONにし、録音開始します。今度はRHというツマミを回し、赤いランプが両方とも点灯または交互に点滅するように調整します。
最後に聴感でのテストを行い修理完了です。