SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K222ESAです。
最近入手されたということですが、
イジェクトボタンを押してもリッドが開きません。
カバーを開けてメカを取り出し分解を進めます。
左側ピンチローラーは調整式になっていますので、取り外す前に位置を記録しておきます。しかし、製造時よりも0.3mmほど前方にせり出していることがわかりました。シャフトの抜け出しが起きている可能性があります。
SONYのESG以降のメカは、ピンチローラーの位置が0.1mm狂っただけでもテープの巻き込みを起こすことがあります。
ピンチローラーとアイドラーを取り外しました。
キャプスタンモーターを切り離します。
モーターユニットを分解します。
先ほどのピンチローラーアームは、写真のように取り付けられているのですが、
10~20台に1台程度ですが、スプリングの力でシャフトが抜け出していることがあります。もちろん製造上の問題です。
製造時は47.7~8mmですが、やはり0.3mmほど抜け出しています。
ペンチで摘まむと、簡単に抜け出してしまいました。抜け出し防止措置としてシャフトに傷を付けて、打ち込みます。
モーター基板の液漏れコンデンサーを交換します。
シャフトにグリスを処置し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカのフロント部を分解します。
ベルトが加水分解で伸びきっています。
プーリーをアルコールで脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
元通り組み立てていきます。
先ほど仮掛けしたベルトは、この時点でモータープーリーに掛け直します。
キャプスタンモーターユニットを組み付けます。
ピンチローラーは表面を研磨し、専用クリーナーで処理し再利用します。
ピンチローラーを取り付けます。左側は、製造時の位置に調整します。
メカの整備が完了しました。
この機種と222ESLは、必ず点検しなければならないことがあります。
基板を取り外します。
指で触れているのは、銅板のアースラインですが、
その半田付け箇所にクラックが入り、動作不良を起こしますので、
再半田を行います。
ついでに、力が加わる入出力端子も再半田します。
メカを本体に戻して走行テストを行います。
調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスを調整します。
録再バランス調整を行い、
最後に聴感で音質を確認し、完成です。