ジャンク機として以前入手し、保管してあったTD-V731を当店のショッピングサイトに出品するため修理を行いました。
このTDシリーズの故障は、9割がた「再生可、早送り巻き戻し不可」というものですが、この機体の場合は反対で「再生不可、早送り巻き戻し可」といった状態です。
再生ボタンを押すと、ヘッドは上がりますがテープ走行しません。
カバーを開けます。キャプスタンモーターが回転していません。そのため再生不可となっていました。テスターで確認したところ、モーターの端子には12Vの電圧が掛かっていますので、モーターの故障確定です。
メカを降ろして、モーターの取り付けられているプレートを取り外します。
「MMU-5B2LNL」という、あまり聞いたことの無い型番です。確かなのは、12Vということと、回転方向はCCW「Counter Clockwise Rotation(反時計回り)」ということです。あとは回転数が問題ですが、フライホイールの大きさや構造から、おそらく2400RPM程度と思われます。
手持ちの「EG-530AD-2B(12V/2400RPM/CCW」が代替モーターとして使用できそうです。
取付は加工無しのボルトオンです。
一旦メカを本体に戻して動作テストを行います。完璧な動作です。ただし、テープ速度の調整は必須です。
再度メカを降ろして、このデッキの最大のウィークポイントのギヤを点検します。使用頻度が少なかったのでしょうか、ギヤに破損は見られません。しかし、ギヤ欠けは時間の問題と思われますので、2ケとも交換します。
故障したモーターです。試しに分解してみましたが、回転数制御の構成部品から判断すると、ICが故障したものと思われます。
キャプスタンモーターを交換した際は、回転数が安定するまで、少し長めに慣らし運転をする必要がありますので、2~3日ほど試運転を行い、テープ速度、ヘッドアジマスやバランス調整を行って修理完了とします。