これまで何度かお取引いただいている方からのご依頼です。
YAMAHAのKX-1000ですが、LCHの録音不良ということです。
まずは、再生の周波数特性を点検します。高域が減衰しています。
ヘッドアジマスはそれほど問題はありません。
消磁してみます。
かなり改善が見られました。
しかし、録音では、再生モニター時にレベル低下が見られます。特に高域の出力がほぼありません。
カバーを開けます。まずはヘッドの点検を行います。
録音ヘッドのコネクタを引き抜きます。
左右の端子を入れ替えてみました。この状態で録音を試すと、不具合が左右入れ替わりましたので、ヘッドに問題は無いことが分かりました。
左右に同じ周波数の信号を入力して録音状態にし、回路図を見ながら、オシロスコープで信号を追っていくと、録音ヘッドの直前で左右に明らかな違いが現れました。
録音ヘッド直前には、バイアス調整回路が接続されていますので、HX-PRO用のICの端子電圧を測定してみると、ここに異状が見られました。このICの端子電圧に影響を及ぼしそうなところといえば、
ICの直前のバイアス調整VOLです。早速底板を外して、VOLの抵抗値を測定してみると、予想通り、LCH側が絶縁していました。
しかし、端子も形状も特殊なタイプのVOLが用いられていて、交換するとなるとジャンク機からの移植ということになりますが、現実的ではありません。
絶縁しているLCHに半固定抵抗を接続します。
LCHの不具合は、ほぼ解消されました。ただし、テープごとにバイアス調整することは困難ですので、オーナー様と協議を行い、今回はここまでとなりました。
最後にテープ速度、
ヘッドアジマス、
録再バランス調整を行い、
以上修理完了となります。