ナカミチのCR-30です。
１年ほど前に大手リサイクル店から整備済み品として購入されたということですが、
再生を開始すると、即停止します。
このときにカセットを取り出すと、写真のようにテープが飛び出しています。この状況は、リールの回転が停止し、オートストップが働いたときに起こります。おそらくリールモーターの故障が原因です。
カバーを開けます。
これがリールモーターです。
一度分解されたような形跡があります。
本来は交換が望ましいところですが、新品は入手できませんし、中古品と交換してもそう遠くない時期に同じ故障が起きますので、モーターの分解整備を行います。
配線を切り離し、内部のブラシを傷めないよう、慎重に後部のカバーを取り外します。
ブラシにはそれほどの汚れは見られませんが、接点が酸化して少し黒ずんでいますので、研磨清掃します。
こちらも同様です。仕上げに接点復活剤を処置し、組み立てます。
直接電圧を加え、慣らし運転を行います。
勝手に停止することは無くなりました。ここでオーナー様から他の箇所のメンテナンスも行う旨、ご連絡をいただきましたので、
メカを降ろします。
ハウジング内の化粧プレートを取り外します。
バックテンション用ベルトを交換します。
カセット検出スイッチの接点を磨きます。
カムモーターユニットを取り外し、
カムを取り外し、モーターに直接電圧を印加して長時間空転させ、内部接点の自己回復を促します。
カムでONOFFするリーフスイッチの接点を磨きます。
メカ背面のパネルを取り外します。
フライホイールを取り外し、キャプスタンのシャフトにグリスを処置します。
ベルトを新しいものに交換し組み立てます。
専用クリーナーでピンチローラーを清掃します。
清掃後に綿棒に付着しているのは、テープの磁性体ではなく、ピンチローラー表面の劣化成分です。
メンテナンスの完了したメカを本体に戻し、動作テストを行います。
ここで初めて気が付きましたが、RECVOLがグラグラしています。
内部から確認すると、VOLの取り付け部が割れていました。
梱包されていた段ボールを確認すると、穴が開いてました。おそらく輸送中にぶつけたものと思われます。私も以前、購入した機器のサイドパネルやインシュレーターが破損していたことが２・３度あります。
運送会社で弁償はしてくれますが、その引き換えに機器を回収されてしまいます。折角のナカミチですので、それは避けたいところです。
幸いにも綺麗？に破損していますので、補修が可能と思われます。
強力な接着剤で張り付け、ひと晩養生します。続きは明日加筆します。
（明日に続く）
一晩経ちました。無事復旧できました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
左右同レベルの信号を入力します。
テープポジション別にレベル調整することができますので、順番にバランス調整を行います。
聴感で録再状況を確認します。さすがナカミチという音です。以上修理完了です。
