PIONEERの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、T-1000Sの修理依頼をいただきました。
7年ほど前にメーカーサービスでトレイ開閉の不具合を修理したものの、1年も経たないうちに同様の故障が発生し、その際に「ベルト入手できないため修理不可」と診断を受けて現在に至るということです。
トレイは開きますが、
閉まる際にはスプリングの力が加わりますのでかなりヨタヨタです。それでも何回かトライしているとテープをセットすることができました。
テープ走行には大きな問題は無いようです。
カバーを開けました。メカ後部のモードベルトがスリップしています。このベルトを交換するためには、メカを降ろさなければなりませんが、結構大変です。
フロントの化粧パネルを取り外します。
メカは正面4本、底面2本のビスで固定されています。底面のビスは下から固定することになっていますが、逆になっています。機能自体には問題ありませんが、メーカーサービスでもこんな単純なミスをするとは驚きです。
フロントパネルを取り外し、メカをようやく取り出すことができました。
手動でトレイを動かすと、かなりの抵抗感があることがわかりました。
このガイドレールとトレイのガイドピンが擦れているようです。
ヤスリで少し削り、グリスを処置します。
メカ後部のカムユニットを分解します。
ここのベルトは構造的にスリップしやすいようです。同サイズの新品と交換します。
開閉状況を確認します。
キャプスタンベルトも少し緩く感じます。
モーターのプレートを取り外し、ベルト2本を交換します。
続いて正面部です。
アイドラー周りのパーツを分解し、アイドラーにアクセスできるようにします。
ゴムリングを交換します。
メカの動作確認を行います。この時点ではまだフロントパネルは組み付けません。なぜなら、年式の新しいパイオニアのデッキは、フロントパネルを取り付けた状態ではヘッドアジマス調整ができないからです。
先ほどの状態でヘッドアジマスの調整を行います。
フロントパネルを組み付け、動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、修理完了です。