SONYのダブルデッキ、TC-WR820です。
1年ほど前に中古動作品として購入されたものの、3点ほど不具合があるということです。
①テープ速度が遅い(デッキA)
②録再バランスが悪い(デッキA・B)
③ピンチローラー劣化(デッキB)
早速カバーを開けました。基板上の調整用半固定抵抗が全交換されていました。バランス不良の原因は、交換後に調整不足であった可能性があります。
基板上の半固定抵抗については、経年による接触不良により不具合が起こることがありますので、交換するに越したことはありませんが、交換後に計測器等により確実な測定や調整ができる場合に限ります。
デッキAです。なぜか左側のピンチローラーのみ交換済みでしたが、今回は両方とも交換します。右側はコア抜けが発生しています。
デッキBです。両方ともコア抜けしていました。
メカを元に戻して動作テストを行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生しデッキAの速度の点検を行います。オーナー様のお話しどおり2%遅い状況です。
このデッキには倍速ダビング機能が備わっていて、速度調整方法は特殊です。まずはサービスコネクタをショートさせます。
電源ONにします。315Hzの信号が記録されたテープを再生し、「HIGH SPEED」ボタンを押すと倍速になりますので、
630Hzになるよう、調整します。数値は1Hz程度上下しますので、630Hzを中心に変動するように合わせます。
通常の再生速度に戻して、315Hzに合わせます。デッキBも同様に調整します。
録再バランス調整を行います。左右同レベルの信号を入力し、それを録音したものが同じレベルになるよう調整します。
3ヘッド機では録再同時モニターで簡単に調整できますが、
この機種は2ヘッド機ですので、「録音ー再生(バランス確認)ー調整ー録音ー再生ー調整・・・」と、先ほどと同じグラフになりバランスが取れるまで繰り返します。
録音再生状況を確認し、修理完了です。