先日当店で販売したYAMAHAのKX-690ですが、お客様から「トラブルが発生した」というご連絡をいただきました。ワウフラッターが気になるということです。
早速機器をお送りいただきました。
再生を開始すると、短い周期で音程が一瞬変化します。一般的なワウフラッターは、連続した速度の変動ですので、少し様子が異なります。
カバーを開けました。音程が変化するサイクルは、フライホイールの回転サイクルと同じように感じます。最初はピンチローラーの変形を疑いましたが、キャプスタンモーターに問題があるように思えます。
モーターを取り外します。同じものは入手できませんので、
同規格の新品モーターと交換します。
不具合は無事解消されました。なぜ、モーターが原因で今回のような不具合が起きたのかは断定できませんが、モーターの回転が不規則になるということは、内部の速度調整用の回路に問題が起きたと考えられます。なお、お客様からは、それ以外に2点ほどご指摘の件がありました。
1点目は、「ハウジングランプ(カセット窓の照明)が消えている」ということです。しかし、この機種については、元々ランプが装備されていませんので問題はありません。
もう一点は、「再生中にイジェクトボタンを押すと、トレイが開きだす」ということです。オーディオ用のカセットデッキでは、テープ走行中は、トレイがロックされ、イジェクトしようとしても開かないようになっているものがほとんどです。しかし、メカを確認したところ、この機種にはロック機構は装備されていませんでした。
KX-690は、普及価格帯でありながら、3ヘッドデュアルキャプスタン、ドルビーSやオートチューニングなどが搭載されている高機能かつ高性能機ですが、それと引き換えに、様々な箇所でコストダウンが図られたようです。確かに、ハウジングランプは無くても使用上の問題はありませんし、再生中にイジェクトボタンを押すこともあまりありませんので、上記の2点については、無くてもあまり困らない機能ということで省略されたものと思われます。
以上となりますが、これで修理完了です。