A&DのGX-Z9100EVの修理依頼をいただきました。
十数年前に一度修理されたということですが、現状では3点ほど不具合を抱えています。
1点目は、電源をONにするとトレイが開きっぱなしになるということでしたが、動作確認時は再現しませんでした。しかし、モードベルトのスリップが感じられます。
2点目は、サプライ側のピンチローラーが再生時に回転していないということです。
3点目は、外部端子が割れているということです。
カバーを開けてメカを取り出します。
カセットホルダーを化粧パネルを切り離します。
ホルダー内蔵のスプリングに変形が無いか点検します。問題ありません。
メカ正面です。
固着はありませんでしたが、製造時に塗布されたと思われるグリスがそのまま残っています。これが硬化して動作不良の原因となります。
ヘッド周りを分解します。
ピンチローラーの表面が劣化しています。
専用クリーナーで処理します。
古いグリスをシリコングリスに置換して組み立てます。
左右リールとアイドラーを取り外します。
硬化したゴムリングを交換します。
アイドラーゴムが当たる面を脱脂します。
メカ背面の基板を取り外します。
キャプスタンベルトはかなり汚れています。
フライホイールです。ベルトの当たり面に付着したゴムカスを清掃します。
カムモーターのベルトを交換します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
キャプスタンのシャフトにグリスを処置し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカの整備が完了しました。
メカを本体に組み込んで動作テスト及び動作ポイントの調整を行います。
本体面のプレートを取り外します。
割れた出力端子を交換します。
点検調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、修理完了です。