これまで何度か当店をご利用になった方からのご依頼です。
AIWAのAD-F70Mです。近年ではあまり見かけない機種です。
巻き戻し等はOKですが、再生不可です。
この機種は、カセットをセットしなくても、再生ボタンを押すとヘッドとピンチローラーが上がってリールも回って再生状態になります。しかし、肝心のキャプスタンが回転しません。
こういったケースはよくあることで、普通はベルト切れが原因です。
カバーを開けます。電源トランスが目を引きます。
予想に反してベルトが溶けたり伸びたりはしていませんでしたが、再生ボタンを押すと、キャプスタンモーターは回転しますが、モータープーリーのところでベルトがスリップしていることがわかりました。何かが抵抗となっているようです。
まさかと思い、キャプスタンを摘まんで回すと、何も無かったように回り出しました。少し固着気味だったようですので注油を行いました。
リールトルクは正常ですので、アイドラーのスリップはありません。
ピンチローラーとヘッドを専用クリーナーで清掃します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。１％強オーバーです。
モーター横にある半固定抵抗を回して調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
最初は気にならなかったのですが、再生時にのみ、リール周りから「チャラチャラ・・・・」という音が鳴り続けます。カセットデッキではあまり聞いたことのない音です。
化粧プレートを取り外して異音の発生場所を探します。アイドラー周りのスチール製のスモールパーツが組み合わさっている箇所が振動して異音が発生したことがわかりましたので、消音のためグリスを処置します。
今回はこれで修理完了です。
