SONY製DATデッキ、DTC-690の修理依頼をいただきました。
テープ走行が不調ということです。
再生を開始すると、音が出ますが、2・3秒で停止します。この場合、考えられる原因は、走行系、あるいは、非常に稀な故障にはなりますが、リールの回転を検知するセンサーのいずれかの不具合です。
そこで、リールの動きを観察すると、リールの回転が停止した後にストップ動作するのではなく、いきなりストップしますので、回転センサーの故障が疑われます。
メカを取り出して裏返します。
基板の裏側にリールの回転を検知するセンサーが取り付けられています。
左右とも交換します。
これで勝手に止まることは無くなりました。しかし、ローディングなどメカの動きが少しギクシャクしています。
オーナー様のご了解のもと、作業を進めます。再度メカを降ろして、基板とリールユニットを取り外します。
このメカのウイークポイントのメンテナンスを行います。
白黒ギヤを固定している樹脂製の白色の小さな留め具が割れています。この状態では、そう遠くない時期にギヤが脱落して動作不良を起こしますので、スチール製のEリングに置換します。
テープガイドの動きを点検します。途中で引っ掛かりを感じます。
ガイドレールが劣化して、レール幅が狭まっていますので、修正を行います。これでスムーズに動くようになりました。
続いてリールユニットです。
普段はノーマークな箇所ですが、黄色のソレノイドユニットを固定している右側のビスが緩んでいます。このメカには、ソレノイドユニットは2ケ搭載されており、もう片方でのビスの緩みはこれまで何度も経験していますが、この状態は初めてです。製造時の締めが甘かったのでしょうか?
作業に支障となるモーターを取り外して、きつく締め込みます。もちろん、他の部分も増し締めを行います。
固着しやすいギヤを脱着します。アルコールで脱脂し、グリスアップします。
リール内部のスプリングも固着することがありますので、先ほどと同様グリスアップします。
カセットホルダーを取り外します。
ヘッドドラム表面の異物の有無やピンチローラーの状態確認を行います。
ピンチローラーは表面にややテカリが見られましたので、脱着して専用クリーナーでクリーニングします。
カセットホルダーの可動部にグリスを処置します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。メカの動きがスムーズになりました。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、修理完了です。