SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K555ESXのメンテナンス依頼をいただきました。
この15年ほど保管状態だったということですが、電源を入れたところ内部から異音がしたため使用を中止し、当店にご依頼があったという次第です。
異音は確認できませんでしたが、トレイは予想通りロケットオープン状態です。
動作に大きな問題はありません。
カバーを開けて、まずは基板の点検を行います。
コントロール基板です。チェック項目は、「端子が変色していないか」「電解コンデンサーに液漏れがないか」「半田割れが無いか」です。
電源基板です。
再生基板です。
録音基板です。
メカを取り出し、カセットホルダーを切り離します。
ロケットオープンの原因となった劣化したゴムリングを交換します。
化粧パネルを取り外します。黄色のプリズムの表面を磨きます。このプリズムは、カセットの窓の照明のほか、
このランプを、
リール台の後ろにある回転センサーに光を導く役割があります。プリズムが汚れたり、ランプが切れるとオートストップが働いてテープ走行できなくなります。
ピンチローラーとヘッドを専用クリーナーS-721Hで清掃します。
リールを分解し、グリスアップします。
カセットホルダーを組み付け、開閉状況を確認します。
キャプスタンモーター基板を取り外します。
フライホイールをベルトを取り外します。
このレバーが固着することがありますので、支点部に注油します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカを本体に脅して、調整等に移ります。ヘッドの消磁を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
トルクメーターで巻き取りトルクとバックテンションを測定します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアス調整を行った状態で、
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、メンテナンス完了です。