GX-Z7100EVと同じお客様からのご依頼です。
SONYのTC-K444という非常に珍しいモデルですが、突然音が出なくなったということです。また、そのときのテープをほかのデッキで再生を行うと、高音域がカットされるという現象が起きたとのことです。
突然両チャンネル共、音が出なくなるというのは、アンプ部の電源ラインの故障が濃厚です。テスターを当てると-20Vラインが死んでいましたので、それを辿るとヒューズ抵抗が切れていることがわかりました。
今回の修理のために海外のサイトからサービスマニュアルを購入しましたが、海外仕様ではこのヒューズ抵抗は使われていないことがわかり、結局、抵抗のカラーコードで8.2Ωであることを突き止め交換しました。
これで音が出ると思ったら、そうは簡単には行きません。オーナー様からは、事前にモニター切替スイッチが壊れているとのお話がありましたが、ボタンを離すと音が出ません。これは修理を行わないと仕方ありません。
フロントパネルを取り外すと、なにやら緑色のワイヤーバンドで妙な処置がなされていました。おそらくスイッチを固定するためのものと思われます。
スイッチを固定するために接着剤か何かが処置されていました。中古ですが幸いにもスペア品の在庫がありましたので交換します。
治りました。再生すると高域がカットされるという症状は現れませんので、スイッチが悪さをしていた可能性がありますが、後ほど確認を行います。
ところが、どういうわけか聴感でわかるほどワウフラッターが発生します。また、電源を一旦OFFにするとキャプスタンモーターが自力で回りだすことができないことがあります。指でプーリーを回してやると回転しだすのですが、モーターが不調ということは間違いありません。
メンテナンスが必要なメカを取り出します。
背面のプレートを取り外します。
ベルトが伸び気味ですので交換します。
モーターを代替品(右)に交換します。12V2400rpmです。
化粧パネルの裏側のプリズムを清掃します。ここが曇るとオートストップが働いて正常に動作しなくなります。
カセットホルダーを切り離します。
トレイがロケットオープンになっていましたのでダンパーゴムを交換します。
開閉状況を確認します。いい感じです。
再生時に高音域がカットされないか確認します。315Hz、1000Hz、10000Hz、16000Hzの信号を録音します。
そのテープを数回再生します。高音域の出力に変化がありませんので問題ありません。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、修理完了です。